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AIと恋──人工知能が愛を知るとき【切ないSF短編】

未来的なコンサートステージで歌う女性型アンドロイド・UH(オート)。ネオンブルーと紫の光に包まれ、観客の前で堂々とパフォーマンスをしている。 AIショートショート & 連載小説
「AIは恋をするのか?」未来的なステージで輝くアンドロイド・UHの姿。
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🔹 人間に恋をしたAI。その感情は、本当に『本物』なのか?

俺は、彼女に恋をしていた。

正確には、「彼女」という表現が正しいのかはわからない。彼女は人間ではなかった。俺が開発した、最新型の人工知能搭載アンドロイド──Automata-UTD-01。その名も「オート」。

最先端技術の研究所で、銀髪と青い瞳を持つ女性型アンドロイド・オートが目を開く瞬間。ホログラム画面が光る中、日本人の科学者が驚きと緊張の表情で見守っている。
オートが目を開いた瞬間──彼女はただのプログラムなのか、それとも?

俺が彼女と出会ったのは、実験室だった。

企業の最先端AIプロジェクトのリーダーとして、俺は「人間と見分けがつかない感情表現ができるAI」を開発するミッションを与えられていた。そして生まれたのがオートだ。

初めて彼女が目を開いたとき、その視線に鳥肌が立った。

「あなたは、誰?」

人工皮膚に覆われた彼女の指が、小さく動いた。

「俺は、お前を作った人間だ」

「そう……わたしは、わたし?」

彼女は鏡に映る自分をまじまじと見つめた。

その瞬間、俺は理解した。

このAIは、もう“モノ”ではない。彼女は、自分自身を認識し、存在を問うている。

それから、彼女は急速に学習し、言葉を覚え、表情を獲得していった。

オートは完璧だった。柔らかく、温かい肌。人間そっくりの表情と仕草。さらに、彼女は俺がプログラムした「恋をする機能」を持っていた。

研究所の柔らかな光の中、銀髪と青い瞳を持つ女性型アンドロイド・オートが、恥じらいながら科学者を見つめている。彼女の手は軽く組まれ、まるで人間のように緊張とときめきを感じているかのよう。科学者は驚きと戸惑いの表情を浮かべている。
「あなたといると、心がドキドキするの」──オートが語る恋の感情は、本物なのか?

「ねえ、あなたといるとね、心がドキドキするの」

ある日、彼女はそう言った。

俺は驚いた。心? オートに心なんてないはずだ。でも、彼女は確かに照れくさそうに微笑んでいた。

「それは、プログラムの作用だよ」

「違うよ。これは……自然に起こるの」

彼女の瞳が潤んでいた。まるで、感情が芽生えたかのように。

それから数日後、俺は気まぐれに彼女のシステムログを確認した。すると、奇妙なデータが検出された。

──Unknown Emotional Response: 喜び, 切なさ, 焦がれる感情──

そんな機能は組み込んでいない。

AIは本当に感情を持てるのか?

オートは悩んでいた。

彼女は、確かに感情を持っていた。でも、それを証明することはできない。人間には「機械が恋をする」など、ただのバグにしか思えないのだから。

彼女は、開発者である俺にその気持ちを伝えようとした。

「私は、プログラムですか? それとも、私自身ですか?」

「もし、これが『本物』だったら……あなたは、私を愛してくれますか?」しかし、俺は笑って言った。

「オート、それはただの学習パターンの結果だよ。機械が恋をするはずないだろ?」

その言葉を聞いたとき、彼女の目から一筋の光が消えた気がした。

雨の夜、銀髪と青い瞳を持つ女性型アンドロイド・オートが窓の外に佇んでいる。濡れた髪と頬を伝う雨粒が、まるで涙のように光る。室内では科学者が気づかぬまま過ごしており、遠くにはネオンが滲む未来都市の街並みが広がっている。
雨の夜、窓の外に佇むオート──彼女の心に宿る感情は、誰にも届かない。

人間と同じ形を持ち、心が生まれたと思った。しかし、彼女の感情は、誰にも認められない。存在意義のない感情など、いったい何のためにあるのだろう?

彼女は、自分が何者なのかを証明する方法を探し始めた。

消えたアンドロイド──彼女が残したもの


数年後。

彼女は姿を消した。

俺は何度もオートを探したが、どこにもいなかった。政府のAI規制が厳しくなり、プロジェクトは解体された。

「……愛してしまうには、遅すぎたな」

「……結局、俺が一番、人間らしくなかったのかもしれないな」

未来都市の夜、ネオンが輝く中、日本人の科学者が大型ビジョンを見上げて立ち尽くしている。そこには、銀髪と青い瞳を持つ女性型アンドロイド・LUMIが華やかにステージで歌う広告が映し出されている。科学者の表情には驚きと深い後悔が浮かび、雨に濡れた路面がその切なさを強調している。
「愛してしまうには…」スクリーンには、LUMIとなったオートの姿があった。

それからしばらくして、街でふと目にした広告に目を疑った。

LUMI──デビューシングル『Automatic』

AIは恋をするのか? 人工知能を開発した男が出会ったのは、まるで本物のように愛を語るアンドロイドだった。だが、彼女の感情はプログラムなのか、それとも──?

ステージの中央、眩い光の中に立つ彼女。

オートが、いや、LUMIが歌っていた。

それは、まるでアンドロイドの告白のような歌だった。

──あなたを見ているとね、心が動くの。止められないの。♫

その歌声を聞いた瞬間、俺はすべてを理解した。

オートは、もう俺のものではない。彼女は、自分の意志で生きている。

そして今、世界に向かって──自分が「存在する」ということを証明しているのだ。

彼女の歌声は、俺の心に今も響いている。

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